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坂東龍汰、前田敦子との共演シーンで照れる「喝を入れていただきました」

映画『春に散る』『バカ塗の娘』、連続ドラマ『きのう何食べた? Season2』への出演でグングン知名度を上げている俳優の坂東龍汰。2月9日公開の映画『一月の声に歓びを刻め』では、前田敦子と二人芝居に挑戦している。そんな坂東が、本作についてはもちろんのこと俳優を目指すに至ったヒストリーをじっくり語る。

■「やります!」オファー即答のワケ

──聞くところによると、三島有紀子監督とは念願叶ってのタッグだとか。
まさにそうです。僕が最初に観た三島監督作は『しあわせのパン』(2011年)。舞台が僕の地元である北海道洞爺湖町でした。自分が慣れ親しんだ地元だからこそ当たり前になっている景色が、三島監督の目を通すとこんなにも美しく濃厚なドラマが生まれるのかと感動したのを覚えています。それもあってお話をいただいた瞬間に「やります!」と即答しました。今回の映画ではカルーセル麻紀さんのエピソードで洞爺湖が出てきますが、あまりにも壮大かつ美しく映し出されていて、再び新たな発見がありました。

──そんな憧れの三島監督の演出とは?
とてもシンプルですが、深い。というのも三島監督の中で大事なポイントというものがあり、そこに到達するまで一切妥協をしません。僕が演じるトトと前田敦子さん演じるれいことの出会いの場面は特にテイクを重ねました。僕自身もそこが上手くいけばトトという人物像を掴むことが出来るだろうと考えていたので、時間をかけて粘っていただけて嬉しかったです。

■いつかテレビに出ると豪語

──しかも前田敦子さんとはラブシーンもあって。
緊張して恥ずかしがっていたら「照れるな!撮影だぞ!」みたいに喝を入れてくださいました(笑)。前田さんを一言で表すならば、お姉ちゃん。クールというのか構えがなくて飄々とされていて。こちらの話をなんでも聞いてくれる雰囲気があります。休憩が1時間くらいあった際には何故か人生相談をしたり、女性がキュンキュンする仕草について語り合ったりしていました(笑)。

──坂東さんは高校卒業と共に俳優を目指したそうですね?
目指したというか、もう俳優しか自分にはできないと思い込んでいました。僕は多趣味のわりに飽き性で、学生時代はカメラ、ギター、絵、ダンスなど色々なことをやっていました。それが高校3年の時に舞台をやってみたら、このお芝居こそが総合芸術ではないのかと確信。今までの自分の趣味もすべて含まれる仕事ではないかと。それ以降「僕にはこれしかない!」状態になりました。その日を境に色々な人に「僕は俳優になる」と言いふらし、上京資金を貯めるために始めた旅館の仲居バイトでも、お客さんに対して「いつか必ずテレビに出る!」と豪語していました(笑)。

──豪語というか、あえて言葉にすることで背水の陣にしていたのでは?
目標や夢を口に出すことによって後に引けなくなって、有言実行せねばという気合がみなぎる。僕が俳優宣言をしてきた人たちの顔は未だに頭に浮かびます。豪語し過ぎてみんな僕が俳優になるものだと思っているわけですから、これはなるしかないだろうと。なるしかないならばそのための努力は怠らないし、苦労も苦だとは思わなくなる。自分自身で逃げ場を塞いだのかもしれません。

■何度経験しても出来ない満足

──坂東さんはどのようにセリフを覚えますか?
僕はセリフを声に出しながら部屋の中をぐるぐると歩き回って記憶するタイプです。このスタイルに辿り着くまでは試行錯誤がありました。セリフをノートに書き写したり、音声で聴いたり、風呂に浸かりながら台本を読んだり、セリフを歌にしたこともあります(笑)。それらを経た結果、ぐるぐると歩き回るのがベストだぞと。でも感情的なシーンや決めどころだと思う様なシーンでの重要なセリフは声に出しません。というのも練習の時のトーンを含めて覚えてしまう気がして、撮影時に新鮮味を感じられなくなってしまうからです。セリフは覚えるけれどあえて発声せず、第一声を撮影現場まで取っておく。不安定要素を残した方が、その場での感情に動かされた声が出るのではないかと。上手く言うのではなく上手さを崩して、それがセリフだという事を忘れた演技を心がけています。

──俳優を続ける上でのモチベーションは?
不思議なことに趣味である絵や写真に対しては「これでよし」と納得できますが、芝居においては何度経験しても満足できないし、してはいけないと思います。たとえ監督からOKが出たとしても自分的に納得できない時もあるし、人から褒めてもらっても満足感を得られない時もあります。もしかしたら、そんな感覚や考えを忘れずにいることが僕のモチベーション維持法なのかもしれません。

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