作家・柚月裕子による原作を実写映画化したヒューマンミステリー『盤上の向日葵』(10月31日公開)。10月16日には丸の内ピカデリーにてジャパンプレミアが行われ、主演の坂口健太郎、共演の渡辺謙、佐々木蔵之介、土屋太鳳、高杉真宙、音尾琢真、小日向文世、そして熊澤尚人監督が登壇した。
将棋界に現れた若き天才・上条桂介役の坂口は「今日は華やかな雰囲気でジャパンプレミアが出来て光栄です。重いテーマの物語ではありますが、とてもいい雰囲気の中で撮影していたので、登場人物たちの生き様が皆さんの心に残ってくれたらいいなと思います」と挨拶。桂介に大きな影響を与える、賭け将棋で裏社会に生きた男・東明重慶役の渡辺も「久々に血生臭い映画になりました」と宣言した。

坂口は「初めて日本の観客の方々に観ていただくので、ちょっと緊張していてフワフワした感じがあります。本作は登場人物たちの生き様を丁寧に切り取った作品です」と予告。役柄については「能動的にアクションを起こすというよりも、巻き込まれていく人間。役として生きる中で見たり聞いたり、その空間の中で生きる事を大事にしながら演じました。音尾さんとのシーンでは空っぽになる感覚があって、桂介の肩に手を置いてあげたくなるくらいきつかったけれど、彼は将棋に救われてもいたし、地獄に落とされた瞬間もあるだろうし。演じながらそんな感情がグルグルと回っていました」と報告した。

渡辺は「久々にいい加減で滅茶苦茶な男をやらせていただきました。なかなか好きにはなれない役かと思いますが、ぜひ可愛がっていただけると嬉しいです」と照れ笑い。役柄については「一貫性のない事この上ない!こいつ本当の事を言っているのか?と思う。だから僕の役の事は信用しないでください。でも演じていて楽しかった」と、嬉々として手応えを報告していた。

そんな二人は初共演。渡辺は坂口について「彼とは似ている部分がある。オープンマインドで現場が好きで作品が好きでスタッフの事も好き。だから僕も一緒に現場に行きたくなる。そんな感覚を持った稀有な俳優です」と共鳴。大ベテランの渡辺からの絶賛にニヤニヤが止まらない坂口も「とても軽やかな方だとお会いして思いました。お会いする前はケンワタナベという認識でしたが、いい意味で“謙さんってこんな方なんだ…”と思わされた瞬間がありました」とリスペクトしきりだった。

桂介の父親・上条庸一を演じた音尾は、坂口との灼熱のガチンコ場面に触れて「真夏の炎天下の中でぶつかり合いましたが、坂口君は普段から優しい方で。大変なシーンなのに合間に僕の事を気遣ってくれて…大好きになりました!」とすっかりゾッコン。この馬乗りになって音尾の首を絞める当該シーンに坂口が「あまりにも暑すぎて汗がダクダク音尾さんにかかってしまって。でも両手がふさがっているので汗も拭けないし、芝居としてやりづらいだろうなと思った」と反省の弁になると、音尾は「いやいや。ここでしっかり言っておきたいのは坂口君の汗は…しょっぱいです!それだけはお伝えしたい!」と謎報告。まさかの“暴露”に坂口は「それはそうでしょう!?人間は」と大爆笑だった。