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プロジェクト収支管理で「Excel」利用者が2年前より2割減 課題も

案件やクライアント発注ごとにプロジェクト化してサービスを提供するタイプの「プロジェクト型ビジネス」では、案件ごとの予算の策定や、工数や経費などの予算と実績のリアルタイムな確認・分析、その結果をもとにした意思決定による収益性の確保などが重要となる。しかし、生産性を向上させるための収支管理のはずが「散在しているデータの収集」「誤入力のチェック」など『名もなき管理』の業務に時間と手間が費やされ、逆に生産性が落ちるという本末転倒のケースが多々発生している。
そのような背景を踏まえ、「プロカン」「プロキャス」などシステム開発事業を行う株式会社シービーティーは、プロジェクト型ビジネスの企業に在籍する30歳以上の管理職534人を対象として、インターネットリサーチにて意識調査を実施。2年前に自社で行った調査(※)とも比較することで、プロジェクト収支管理の変化も明らかとなった。

※プロジェクト収支管理ツールの利用に関する実態調査2022(https://www.project-shuushikanri.jp/notice_20220809/)

プロジェクト収支管理ではExcel利用者が2年前より2割減

まず、職場で行っているプロジェクト収支管理の方法について尋ねたところ、今回行った調査では「Excel/スプレッドシート」利用者は43.6%にとどまり、2022年に行った自社調査では「Excel」利用者が65%だったのと比較すると約2割減少したことが判明した。

2022年1月から施行した「電子帳簿保存法」や、2023年10月から始まった「インボイス制度」の対応をきっかけに、経理を取り巻く環境が大きく変化し、各職場でこれまでの運用を見直し、業務効率化を図るためにツール導入が進んだことがうかがえる。

プロジェクト収支管理で「逆に生産性が落ちている」と感じる管理者は53.8%

次に、職場でプロジェクト収支管理を行っている管理者に、「生産性が落ちている」と感じることがあるかをたずねた。生産性が落ちていると感じたことがある人は53.8%と、およそ2人に1人の管理者が、本来ならば生産性を向上するためのプロジェクト収支管理に対して逆に生産性が落ちていると感じたことがあり、本末転倒な事態となっていることが明らかとなった。

「生産性が落ちている」と感じる管理者を管理方法別に見てみると、「Excel/スプレッドシート(59.2%)」と「各種ツール(47.1%)」に大きな差異はなく、脱Excel後も、プロジェクト収支管理に対して半数以上の管理者は課題を抱えていることが見て取れる。

散在しているデータの収集や記載ミスの修正など名もなき管理業務が発生

そこで、具体的なプロジェクト収支管理に対する課題について聞くと、「名もなき管理」と呼ばれるあまりフォーカスされることはないが実は結構な時間と手間が費やされている名前のない管理業務が発生していることが明らかとなった。

<フリー回答>
・欲しい数字がさまざまな帳票やデータベースに散在しており、いちいち取り出さないといけない(男性 50代)
・複数のシステムを使用しているが、連携できていないため入力したデータがうまく見える化できていない(男性 40代)
・生産性を出力するための根拠データの準備に時間がとられているため(男性 50代)
・データが一元管理されていないので、まとめ作業に時間がかかる(男性 50代)
・入力されたデータの正確性が担保されていないのでチェックに時間がかかる(男性 60代)
・必要とされる情報の不統一、記入漏れ二重登録の修正など(男性 60代)
・記載方法を可能な限り簡素化したり統一化を図っているが、個々の対応等があり、確認作業に時間を要している(男性 60代)
・入力が煩雑になって記載ミスが多発してる(男性 60代)

半数以上がプロジェクト収支管理の分析結果が経営の意思決定に役立っていると回答

続いて、プロジェクト収支管理の分析結果は経営の意思決定に役立っていると感じるかたずねたところ、64.4%が「役立っている」と回答。数値入力やデータ収集、確認作業や管理に時間がかかり生産性が落ちている一方で、プロジェクト収支管理は経営者やプロジェクト管理者が意思決定に活用し収益性を確保するためには欠かすことのできない大事な業務であることがうかがえる。

59.6%の管理者がプロジェクト収支管理において現場とのギャップを感じている

次に、プロジェクト収支管理において現場とのギャップを感じるか、をたずねると、現場とのギャップを感じる管理者は59.6%という結果に。名もなき管理業務として挙げられた「記載ミス」や「記入漏れ」など責任の重さや大きさの違い、理解不足など様々な要因が考えられる。
詳細なデータを蓄積することでプロジェクトの精度が向上する一方、入力の手間がかかるというデメリットも生じている。

今回の調査から、プロジェクト収支管理の方法は2年前の2022年に比べて、Excel利用者が約2割減少し、ツール導入が拡充していることが明らかとなった。しかし、脱Excel後も半数以上の管理者に「名もなき管理」の業務が発生し、本来ならば生産性を向上するためのプロジェクト収支管理が本末転倒な事態となっていることが浮き彫りとなった。
脱Excelのその先を見据えた業務効率化が急務となりそうだ。

▶調査概要
プロカン調べ
【調査方法】 インターネット調査
【調査地域】 全国
【調査対象】  プロジェクト型ビジネス業態の企業に在籍する30歳以上の管理職
【サンプル数】 534人
【調査期間】2024年7月9日(火)~7月10日(水)
プロカン

【ニュースネクスト編集部】

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