横浜・みなとみらいには、歴史を感じさせる名建築が点在しています。「キング・クイーン・ジャック」の愛称で親しまれる横浜三塔もそのひとつで、「クイーン」と呼ばれる横浜税関の1階には『横浜税関資料展示室』が併設されています。実際に訪れてみると、想像以上に内容が充実していて、子どもも大人も楽しめる“知的エンタメスポット”であることに驚きました。今回はその魅力をご紹介します。


場所は、みなとみらい線・日本大通り駅から徒歩3分ほど。海岸通り沿いに立つクラシックな雰囲気の建物が横浜税関で、展示室はその1階にあります。

入口では、麻薬探知犬をモチーフにしている税関マスコットキャラクターの「カスタム君」が出迎えてくれます。実は、身長180cm、体重90kgという巨体。かわいらしい表情とはあまりのギャップのある設定に、思わず笑ってしまいます。

展示室の内部は12のゾーンに分かれ、横浜港や税関の歴史、港での役割、密輸の事例などをテーマごとに紹介。写真やパネルだけでなく、実物資料も多く、知識がなくても十分楽しめる構成です。

館内にはスタンプラリーも用意されており、各ゾーンを巡りながらスタンプを集めるのが、子どもだけでなく大人にも好評です。「せっかくだから全部集めたい」という気持ちが自然と湧いてきて、展示室を隅々まで見て回るきっかけにも。
今回、特に印象的だった展示をご紹介します。1つ目は、摘発された密輸の手口を紹介する展示コーナー。


原寸大のコンテナの壁に覚醒剤が隠されていた実例を再現した展示は迫力があり、つい目を凝らして見入ってしまいました。映画の中にしか存在しないと思っていたような出来事が、港のすぐそばで現実として起きていたのだと考えると、胸にずしりとくるものがあります。

税関職員による地道な検査が、日々大きな犯罪を防いでいることが伝わってくる内容でした。
2つ目は、子どもたちに人気が高い体験コーナー。

ここでは、金属探知機を手に取り、荷物検査の体験ができます。


さらに、麻薬探知犬がどのようにして薬物を見つけるのかを再現した展示もあり、子どもたちが楽しそうに挑戦していました。普段知ることのない税関の仕事が、身近になるコーナーです。
3つ目は、ワシントン条約(CITES)に関する展示コーナー。

絶滅のおそれがある動植物の国際取引を規制する条約で、ここでは実際に税関で押収された毛皮や標本などが並びます。

「こんなものまで?」と驚くものばかりで、無意識のうちに違法取引へ加担してしまう可能性があること、そしてその裏で守られている生態系の存在を改めて考えるきっかけに。大人でも見応えあるコーナーです。
4つ目は、本物と偽物を見分けるコーナー。

ガラスケースにはブランドバッグや靴、財布、ぬいぐるみ等、様々な物が並び、どれが本物でどれが偽物かを見比べられます。

一見しただけでは判断がつかないものばかりで、思わず前のめりになって観察してしまいました。

見分けるポイントは企業秘密だそうで、プロの目と経験がいかに重要か実感できる内容です。来館者の滞在時間が特に長いコーナーであることもうなずけます。写真は展示のほんの一部なので、見極められるか実際に挑戦していただきたい!
展示室の雰囲気は堅苦しさとは無縁で、コンパクトな空間ながら見どころが多く、「無料でここまで楽しめる場所があるとは」と驚くばかりでした。滞在時間は短いと思っていたものの、気づけば予定よりだいぶ長くなり、1時間以上過ごしていたほど。

『横浜税関資料展示室』は、横浜三塔めぐりや山下公園散策と組み合わせて訪れれば、街歩きがより楽しくなります。横浜・みなとみらいへ出かける機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。税関の仕事が驚くほど身近に感じられ、有意義な時間を過ごせますよ。
▶施設情報
横浜税関資料展示室
【住所】神奈川県横浜市中区海岸通1-1横浜税関本関1階
【開館時間】10:00〜16:00
【休館日】年末年始(12月29日~1月3日)、施設点検日
公式Webサイト