Collection

コーヒーから考えるSDGs 「トアルコ トラジャ」って?

「トアルコ トラジャ」
何かの呪文のような響きですが、実はこれ、コーヒーの名前なんです。

2023年1月にキーコーヒーが公開した動画「コーヒーは地球語」では、発売45周年を迎えたこの「トアルコ トラジャ」の生産に携わる現地の人々が、SDGsの視点から紹介されています。また、X(旧Twitter)で開催された「トアルコ トラジャってなんじゃ?」キャンペーンをきっかけに、ハッシュタグ「#トアルコトラジャ」がトレンド入りするなど、話題となっています。

今回はこの不思議な「トアルコ トラジャ」の魅力に触れながら、SDGsに思いを巡らせてみましょう。

トアルコ トラジャ について


インドネシア・スラウェシ島のトラジャ地方でのみ生産されるトラジャコーヒー。その希少性と上品な風味から、かつては「セレベス(スラウェシ)の名品」と謳われていましたが、第二次世界大戦の混乱で姿を消しました。


40年近くの時を経た1973年、現キーコーヒーの役員が、幻のコーヒーとなってしまったトラジャコーヒーの現状を確認するため、スラウェシ島へと向かいます。そこで目にしたのは、旧コーヒー農園の無残に荒れ果てた姿。
しかし、現地の農家は、細々とトラジャコーヒーを育て続けることで、その味を大切に守っていたのです。

「地域と一体となって、トラジャコーヒーを復活させる」。キーコーヒーは、まだSDGsの概念もそれほどなかった時代に、インフラ整備から近隣の生産農家へ苗木の無償配布、栽培指導等を推し進め、1978年、「トアルコ トラジャコーヒー」として、トラジャコーヒーを再び表舞台へとよみがえらせました。
そんな「トアルコ トラジャ」は2010年、日本のレギュラーコーヒーとしてはじめての『International Taste Institute優秀味覚賞』を受賞。世界的にも高い評価を受け、現在まで多くの人々に愛され続けています。

コーヒーを仕事に

「トアルコ トラジャ」が作られているスラウェシ島のトラジャ地方は、コーヒーベルトと呼ばれるエリアに位置しています。赤道周辺にある熱帯地域で、直射日光と雨量に恵まれていることから、コーヒー栽培に最適とされてきました。


しかし、第2次世界大戦以降コーヒー栽培が先細りとなったことをきっかけに、生活水準の向上が課題となりました。トラジャ地方の人々はほとんどが農業に従事していますが、販売するためではなく自分たちで食べるために作物を育てているため、仕事をして収入を得ることは簡単ではなかったのです。

キーコーヒーの現地法人「トアルコ・ジャヤ社(P.T.TOARCO JAYA)」(TOARCOはTORAJA ARABICA COFFEEの頭文字)が設立されたことで、コーヒーの栽培・生産が再び盛んになり、雇用が生まれただけでなく、女性が活躍する場を増やすことができました。


動画コンテンツ「コーヒーは地球語」第一話では、長年コーヒーの手選別を担当しているヨスピン・サラッサンさんのお話を中心として、現地の人々が生産することへのこだわりや、その持続可能性が紹介されています。

第一話|環境が厳しいほど美味しくなる【コーヒーは地球語】

仕事が大変でも、「この仕事が好き、働き続けたい」と話すサラッサンさんの笑顔が印象的です。情熱を持って働いている姿が輝いていますね。

コーヒーと環境

「トアルコ トラジャ」の生産開始によって、雇用が生まれただけでなく、コーヒー生産者にとっての環境も改善されつつあります。

もともとは道が舗装されていないところも多かったトラジャ地方。収穫したコーヒーを運ぶのも一苦労でした。
キーコーヒーはインフラ整備の支援をすることで、農家の人々の環境改善に貢献。加えて、苗木の無償配布や栽培講習会など、様々な形での支援を続けています。


また、トアルコ・ジャヤ社では農場内での養蜂を許可しており、コーヒー収穫等のオフシーズンには養蜂と兼業する人も多いのだそうです。農場にはコーヒーの木だけでなく様々な植物が植えられているので、養蜂にも適した場所となっています。


地域の魅力を残しながら、少しずつ良い方向に発展させていく。「トアルコ トラジャ」生産の現場では、そんな形が大切にされていると感じました。

「コーヒーは地球語」第二話の動画では、自身もコーヒーの収穫担当者として働き、夫は養蜂と兼業しているというシンタ・パルンデさんのお話を聞くことができます。

第二話|幸せの循環を目指して【コーヒーは地球語】

パルンデさんもまた、笑顔が印象的。「とても幸せです」と言葉で言えるのは、本当に素晴らしいことですよね。

トアルコ トラジャ の未来

ここで、「トアルコ トラジャ」の未来にも目を向けてみましょう。

インドネシアにおけるコーヒー研究の第一人者であるアグネス・ランピセラさんは、ハサヌディン大学で農学部教授を務めています。大学とトアルコ・ジャヤ社が共同で土壌の研究を行い、土壌のどんな成分がコーヒーをおいしくするのかを解明するべく、日々研究が続けられています。こういった研究が、トラジャコーヒーのおいしさに繋がっていくんですね。


また、キーコーヒーでは「KEY COFFEE AWARD」という、コーヒー作りに携わった農民の方々を讃えるセレモニーを毎年開催しています。会場では「栽培講習会」なども開催され、コーヒー栽培へのモチベーションを高めることにも一役買っています。
生産者に感謝し、コーヒー業界を盛り上げていきたい。そんな思いが伝わってきます。


「コーヒーは地球語」第三話では、コーヒー研究者のランピセラさんのお話を中心として、「トアルコ トラジャ」のこれからに触れることができます。

第三話|国中に根付かせるために【コーヒーは地球語】

おわりに

ここまで「トアルコ トラジャ」について、SDGsの視点を交えながらご紹介してきました。

いつも当たり前に飲んでいる一杯のコーヒーですが、そこにはたくさんの人々の思いと、様々な取り組みによって持続可能な生産を目指す壮大なストーリーがありました。

動画コンテンツ「コーヒーは地球語」ではさらに深く「トアルコ トラジャ」まわりの人々の思いを知ることができます。こちらもぜひチェックしてみてくださいね。

RELATED

PAGE TOP